
【相続分の推移】
時代で変わる相続分
戦前戦中の相続分は、個人より家を重視し戸主に権限を集中していました。そのため家督を継ぐ者が、原則として相続財産を承継する「家督相続」が行なわれていましたが、戦後は個人を重視する相続分に見直しがなされてきました。該当する期間内に発生した相続手続が済んでおらず、これから相続手続を行なわれる場合は、相続開始当時の相続分が適応されますので、注意が必要となります。
また、このような場合は手続が複雑化しますので専門家にご相談されることをお勧めします。
余談ですが、時代劇などででてくる「田分け者」という言葉も、実は鎌倉時代の相続制度と関係する言葉と言われています。これは封建社会のなかで、当時の全財産を家長が相続する長子相続制の見直しが図かられ、相続財産を子供の人数で分ける均等相続に変更がなされた事に由来すると言われています。
「田分け制度」と言いますが、結果として子供の数が多ければ多いほど細かく分けることになり、人口増加の抑制や米収穫高の減少など、農業の衰退化につながってしまいました。問題が噴出したこの制度は、廃止されることとなりましたが(鎌倉幕府が長続きしなかった大きな理由として挙げる識者のかたもいます。)、言葉として後世に伝えられています。
このように、相続分は時代とともに変貌を遂げており、長子相続・末子相続・均等相続などが行なわれた時代もありますが、現在では法律によって定められ、憲法の主旨から違憲判決がなされ、相続分の見直しが行なわれることがあります。それでは、戦後、時代とともに変わって来た相続分についてご案内します。
【言葉の意味】
➀直系尊属(チョッケイソンゾク)とは、
父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のことです。 また、養父母も含まれます。 叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。
②直系卑属(チョッケイヒゾク)とは、
子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族のことです。 また、養子も含まれます。 兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者は含まれません。
③嫡出子(チャクシュツシ)とは、
婚姻中の夫婦の間に生まれた子供
④非嫡出子(ヒチャクシュツシ)とは、
法律上で婚姻関係を結んでいない男女の間に生まれた子供のこと
昭和22年5月3日~昭和22年12月31日まで
応急措置施行中
順位 |
配偶者の |
配偶者以外の |
代襲の有無 | 再代襲の有無 |
---|---|---|---|---|
第一順位 | 1/3 | 直系卑属 2/3 | あり | あり |
第二順位 | 1/2 | 直系尊属 1/2 | なし | |
第三順位 | 2/3 | 兄弟姉妹 1/3 | なし | |
備考 |
➀兄弟姉妹の相続分の差について応急措置法施行中は、全血の兄弟姉妹(父母双方を同じくする場合)と、 |
昭和23年1月1日~昭和37年6月30日まで
順位 |
配偶者の |
配偶者以外の |
代襲の有無 | 再代襲の有無 |
---|---|---|---|---|
第一順位 | 1/3 | 直系卑属 2/3 | あり | あり |
第二順位 | 1/2 | 直系尊属 1/2 | なし | |
第三順位 | 2/3 | 兄弟姉妹 1/3 | あり | あり |
備考 |
➀半血の兄弟姉妹は、全血の兄弟姉妹の1/2 |
昭和37年7月1日~昭和55年12月31日まで
順位 |
配偶者の |
配偶者以外の |
代襲の有無 | 再代襲の有無 |
---|---|---|---|---|
第一順位 | 1/3 | 直系卑属 2/3 | あり | あり |
第二順位 | 1/2 | 直系尊属 1/2 | なし | |
第三順位 | 2/3 | 兄弟姉妹 1/3 | あり | あり |
備考 |
➀子が数人の場合は、各相続分は同じ |
昭和56年1月1日~平成13年6月30日まで
順位 |
配偶者の |
配偶者以外の |
代襲の有無 | 再代襲の有無 |
---|---|---|---|---|
第一順位 | 1/2 | 直系卑属 1/2 | あり | あり |
第二順位 | 2/3 | 直系尊属 1/3 | なし | |
第三順位 | 4/3 | 兄弟姉妹 1/4 | あり | なし |
備考 |
➀子が数人の場合は、各相続分は同じ |
平成17年7月1日~平成25年9月4日まで
順位 |
配偶者の |
配偶者以外の |
代襲の有無 | 再代襲の有無 |
---|---|---|---|---|
第一順位 | 1/2 | 直系卑属 1/2 | あり | あり |
第二順位 | 2/3 | 直系尊属 1/3 | なし | |
第三順位 | 4/3 | 兄弟姉妹 4/1 | あり | なし |
備考 |
➀子が数人の場合は、各相続分は同じ |